「人生は幸福よりも大きい(46章)」【200年、出版不可】とされた最も危険な本。

池田です。

「最も危険」
「有害」
「200年、出版不可」

そう言われ、ソ連時代に抹殺された
小説を手に入れました。

全3巻、1冊500ページほどある大著です。

1950年代後半に執筆が開始、60年に完成。

出版社に持ち込んだところ
編集部によって危険視され、

KGB(国家保安院)から家宅捜索を受けて
原稿、下書き、草案まで没収。

スターリン批判が可能となった時代ですら
言論弾圧を受けて、

「200〜300年は出版不可」

と言われ、
著者のワシーリー・グロスマンは
出版できないまま亡くなりました。

その原稿は友人にも預けていたため
グロスマンの死後、
1980年にスイスで発表。

日本においては、
2012年になってようやく出版。

それが『人生と運命』(みすず書房)です。

 

いつ密告され、収容所に入れられるかわからない…

そんな時代に、文字通り
命がけで書かれた本です。

僕は

「本は持っているだけで意味がある」

思っていて、持っているだけで、
その本に込められた想いやエネルギー、
魂っていうものがいただけると思っています。

まだ1ページも読んでいませんが、

命がけで書かれた本が、
今こうして目の前にあるということに
すでにゾクゾクしていて、

この感じを残しておこうと思って
これを書いてます。

著者のグロスマンの、
命をかけた仕事のエネルギーが
少しでも伝わりますように、

ってことで、こちらの写真をどうぞ。笑

追伸1

KGBの家宅捜索で没収された原稿は
他にもあり、

『万物は流転する』(みすず書房)

も対象となりました。

グロスマンは、没収後、
記憶を頼りにすべて書き直したそうです。
(250ページ以上の本を)

『万物は流転する』も
生前に出版することは叶わず、
1970年にドイツで刊行され、
日本は2013年にようやく出版されました。

ちなみに、

日本で出版されたのは、
訳者の齋藤紘一さんによるところが大きいようで、

齋藤さんは、専門の研究者ではなく、
還暦を過ぎ、古希を迎えようとしている中、
ロシア語の辞書を片手に翻訳されたそうです。

著者も、訳者もお互いに
人生をかけて出版された本です。

本は年齢も、性別も、立場も、
生まれた国を超えて、

何百年、何千年前に亡くなった人とも
交流できて、

なんというか、胸が熱くなるというか、
この素晴らしさ言葉で言い尽くせないですね。

すでに家は読んでない本だらけなのに、
また新しい本が増えてしまいました。

死ぬまでに1冊でも多く、
こういう出会いをしたいです。

 

追伸2

「人生は幸福よりも大きい。
なぜなら人生は悲しみでもあるのだから」

 

『人生と運命』の第2巻の帯に
本書46章から抜き出した言葉が書かれています。

「人生は幸福よりも大きい」

なにかジーンと染み入るものがあって、
涙が出そうです。

 

同じ話をしているだけの動画。しかも画質わろし。笑

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